ここでの並び順は、思い出した順です。
彼女はいわゆる良い子である。気だてもいいし、頭もいい。運動は、あまり激しくはできないが好きなようです(関係ないか)。彼女のシナリオは、まさにそういう「みんなの妹」が、自分にだけしか見せてくれない顔を楽しむものだと思う。
惜しむらくは、彼女が抱えている苦悩を克服したことについて、主人公はちと影が薄い。客観的に見るならば、大きな役割を果たしたのは姉、その次はリスティだろうか。まあ、人によっていろいろあるだろうが、耕介くんは、、順番をつけるなら3番目か4番目の働きしかしていない。
それでも知佳にとっては、恋人の存在はやはり大きかったとは思う。とは言うものの、そのような彼女の主観的な部分を読みとれと言うのは、やはり姉の存在が大きく見えるだけに、やや酷ではないかと思う。
原因があって結果がある世界に私たちが生きているとするならば、知佳があのエンディングに至るという結果には原因があるはずだ。その原因に、間違いなく私がなりたかった。そしてそれを私は望んでいた。しかし、なんだかそうは確信しきれない。傲慢かもしれないが。ゆえにシナリオはBをつけさせてもらいました。
私は正直言って、彼女のような豪快な人は好きだ。ああいう人のわがままに振り回されてみたい。
しかし、なぜキャラクターがA−なのか。それは、彼女のシナリオにおいて、彼女はどんどん(私的に)ダメダメになっていくからだ。いわゆる「仕事を持った自立した女」が、恋人ができた瞬間ダメになっていくのを見るようで、最後の方の私は、ただのクリックマシーンになっていた。
主人公に依存してしまったのか、妹の自立を最初は理解しようともしない(頭ではわかっているんだろうけど)。妹に抱きかかえられているところなんて、ダメのダメのダメである。プライドはどこに行ったのか。そこにこだわらなければ、彼女のアイデンティティはナッシングではないか。少なくともすがろうとしてほしかった。ノリの良い彼女は好きなのだが、キャラクターを冷静に見るならBをつけるところをオマケしてA−ってところです。
なんと言っても短い。それが彼女の最大の不幸である。どうせならアヤナミみたいな壊れっぷりを見せてほしかった(アレでも十分ではあるが)。
彼女は、良きにつけ悪しきにつけ、知佳の陰画であり、昔の知佳である。つまり、結局のところ知佳を理解するよすがにはなっても、彼女の存在のオリジナリティはあまり感じられない。まあ、それもこれも、知佳狙いが失敗してこのシナリオに入った私が悪いのだが。海水浴行きそびれた。
この作品にただようテーマの一つ、言葉で書くならば「意味のない生なんてない」とかそう言ったところを表現するキャラクターなのかなあ。
惜しい! 実に惜しい!
私はああいう無防備なキャラクター大好きである(仁村姉のときも似たようなことを言っていたが)。実は無防備なのは、自分を守る防具なのだが。まあそんなこといいではないですか。対等に物事を話すヒロインって珍しいと思うんですけどね。新鮮に感じました。彼女との人間関係って、現実でもありそうじゃないですか。それが新鮮というのはなんか問題を感じないでもないが。
画竜点睛を欠いたと思うのは、最後のところ。つまり、彼女が夢と恋人を天秤にかけるあたりである。彼女はなんだかんだ言って主人公に隠しごとするし、主人公の行動は意味不明である。主人公は、行かせるなら行かせる、引き留めるなら引き留める、悩むなら悩むではっきりしろ。ああ、もう耐えられへん。そこらへんで、シナリオには満点からちょっと点を引かさせてもらった。
でも、どのシナリオにおいてもなんとか人間関係の和を維持しようとする、彼女の人間性は、非常にシンパシーを感じます。真雪みたいに、自分に正直チックに生きるスタイルにはあこがれますが、それを貫く強さは私には持てないです。
と、言うか、クリスマスのゆうひみたいなこと、私もしたしな。いい友達になれそう、と勝手に思っとこう。
私こういう話に弱いんです(←気が多いやつめ)。
一番ぐっと来たのは、ゆうひエンドで、彼女が花輪を作って渡したとき。彼女は目が見えないが故に、そんなものしか作れない。買い物に行けるわけでもないし、しかも、少し不細工になってしまっている。そのあたりが、また努力と、その裏側の想いを感じさせるじゃないですか。
私が現実にこのさざなみ寮にいたとしても、目が見えないということで、こちらから壁を作ってしまうと思います。だから、決して彼女といい仲になることはないでしょう。ですが、もし仮に、それをクリアしたという仮定の下ならば、あのいい人ぶりにのめり込んでしまいそうです。
400年前に日本に漂着した、イザベラという名前、それらからするにマカオあたりのポルトガル人あたりの娘でしょうか。金髪碧眼だし、私に知識があれば、どういう生い立ちだったのか想像ができそうです。どうでもいいが。
彼女をはじめとする、サブキャラは、なぜエンディングが存在してるのかわかんないです。まあ、瞳ちゃんのシナリオに入ると、理解に深みが増しますけどね。神奈のセリフに出てきたりするし。まあ、それ以上でもそれ以下でもないということで。
彼女については、私は義務感でクリアしました。あんまり魅力も感じないし、必然性も感じられない。瞳ならば、耕介の過去を描写するということでまだ意義があると言えるけど、ななかちゃんはなぜシナリオがあるのでしょうか。私の読み方が足りないんでしょうか。彼女とセックスするのもどうかなあ、と思うし。
瞳のとこでも書きましたが、私は、サブキャラに辛いです。まあ、望シナリオは、10年後も変わらないさざなみ寮を見せてくれるし。
とは言うものの、唐突に、電話が「2日に1度はあった」とか言われても納得できないのですが。まあ、そういうとこでB−つけさせてもらいました。どうもバグらしく、CGは1枚見損ねました。
190の耕介と望じゃ、手つないで歩けないよねえ。かわいそうだ。
このゲームに出てくる人は、誰も彼も優しい。でも、誰にでも優しいのが、本当に優しいとは私は思わないです。
他のキャラクターと比較するならば、たとえば真雪の優しさは、自分(と知佳)を守る方向に働いていると思う。薫の優しさは、常に自己を最後に置いてて、なんだか、守ってあげたくなってしまいました。彼女は、逃げもしないし、自己にできる最大限の努力をするし、魅力的な人物です。自分にできることとできないこと、それに、やらなければならないことをわかっている、ある意味一番大人かもしれません。十六夜さんと相乗作用でいい感じです。そういうわけで、キャラクターにA。
いい人なんですが、それだけに彼女の想いはわかりにくいというか隠してしまっているというか。薫は不器用なんですが、愛さんはなんというか、鈍いのかなんなのか。まあ、つきあいにくいな、と思うわけです。考えてることが、いまいちわかりにくいので。私はそういう人が苦手なので、不当に評価を低くしました。
こういう子といたら楽しいだろうな、と思います。しかし、彼女の魂は、いつもいっぱいいっぱいだと思うんです。大人の耕介と、釣り合わないと思うんですよね。その一生懸命さ、ひたむきさはすごく心地よいですが。同じ境遇なら一緒に歩いて行けそう。10年たって、大人になった彼女を見てみたい。きっと、いい女になっているでしょう。
前半はキャラ耽溺、といった感じで楽しんだのですが、後半になると、身体が大人になったら脳も大人になったのか。どこで覚えたんだそれ的な言い回しを使うんで、シナリオはB+。望とのからみも、もっと描写がほしかったし。