まじかるアンティークは、SRPGだ。

 まじかるアンティークとは、リーフから出た骨董屋経営ゲームだ。途中のフラグによりイベントが起き、その結果によってエンディングを迎える。エンディングはヒロインごとのもの。つまり、唯一あるバッドエンドを除いて、すべて、ヒロインの誰かと結ばれた、というエンディングしかない。

 基本的には各ヒロインごとに一本道のフラグ構成になっている。それらはたいてい期日がもうけられており、失敗すればバッドエンドへと向かうしかない。それは、サドンデスの待ち受けるアドベンチャーゲーム的な感覚に近い。
 もちろんそんなアドベンチャーゲームなど誰も遊んでくれないわけで、ではこのゲームにどんな新味がついているのかと言えば、それはフラグが骨董品店経営と連動しているところ。骨董品のパラメータによってフラグが起きたりクリアしたり、という代物。それはときめきメモリアルに代表されるような、イベントとパラメータが連動したシミュレーションゲームと言えるだろう。
 しかしながら、このゲームがときメモと大きく違うのは、各ヒロインごとに、シナリオとも言うべきレールが敷かれていること。ときメモでは、たとえば藤崎詩織とデートに行きながら、来週には美樹原愛とデートに行くことも可能であった(というよりむしろそういうことが日常化していた)。しかし、このゲームにおいては、イベントの起きる順番もコントロールできない。一度シナリオが決定されてしまえば、他のヒロインに乗り換えることもできない。
 ところが、そのフラグ構成(イベント構成)を決定づけるシナリオが、あまり面白くない。セリフはありきたり、内容はどこかで見たようなもの。ヒロインだって、秋葉原に行けば別のゲームに見つけられそうな気がする。悪くはないが良くもない。

 つまり、このゲームにおいてシナリオは、ヒロイン攻略には必須のフラグをイベントで提示し、その動機付けを行う。しかしそれがあまり面白くない。従って、その動機付け、つまり「このヒロインを攻略したい!」という気持ちは、シナリオによっては喚起されない。つまり、昨今の18禁ゲームでの流行、シナリオ重視とは(ある意味)一線を画していると言える(笑)。

 しかしながらこのゲームは、それなりには面白かった。なぜならば、シナリオによって要求される難題のクリア、この感覚がたまらないからだ。あるシナリオでは、10月末に「11月30日までに1千万作ってこい」と言われる。もちろんリラじゃない。その時点で、どう理想的に進めても持っているのは500万だ。それは3ヶ月かけて作った金だ。普通に考えれば残りの500万を1ヶ月で作れるわけがない。しかし、知恵を(あとセーブとロード)を使えば、何とか作ることができる。そのご褒美にヒロイン攻略は一歩進む。その果てにはヒロインとのセックスシーンがあるわけだが、そんなものはどうでもいい。そこにあるのは難しいパズルを解いたような達成感である。
 要はこのゲーム、シミュレーション的な操作でシナリオによって用意された難題を、育成した主人公でクリアするところにおもしろさがあると考える。そのためにシナリオの自己主張を廃し、平易でわかりやすいステレオタイプなシナリオとヒロインになっているのだ。きっと。

 リーフから出たということで、18禁ゲームをやる人の間では話題にもなるだろう。骨董品図鑑をちまちま埋めるのはなかなか楽しい。そう考えれば、まあプレイしても良いとは思う。伏線のはり方も結構うまいし。テーマはないけど。

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