このゲームでは三人の眼鏡っ子がいる。そのうち彼女はセックスのときも眼鏡を外さないという完全な眼鏡っ子である。
ところで、関西弁と眼鏡といえば『To Heart』の「保科智子」こと「委員長」を連想すべきだが、彼女はちょっと系統が違う。というのは、ガードが甘いのである。初めてのプレイで、ぼくは彼女と非常に良い仲になった。しかし、十月の締切日にあと三ページ足らずにゲームオーバー。セーブをしていなかったので、初めからやり直し。そして、今度はとりあえず瑞希シナリオに進むことにして、由宇はずっと放っておいた。
この由宇、実は表情が『ラブひな』の「成瀬川なる」に酷似している。もちろん、眼鏡をかけたときの「なる」であるが、その凶暴性はまさしくその通りだ。彼女を一言で表現するならば「関西弁を喋る成瀬川」となる。
由宇は自ら「おたく」を自称しているが、作品に対する愛情を「オマージュ」というなど、同人活動に誇りを持っている。また、前述したように以前の弟子で、今はすっかり師匠を上回る人気を誇る大庭詠美の心配をしている友情がたき女性である。
実のところ、彼女は詠美シナリオをクリアーするだけで、十分に価値があるのではないかと思う。彼女自身のシナリオも面白いが、詠美ほど心に訴えるものはない。ほのぼの系である。友達には欲しいタイプだが、恋人にするほどではない。そのような女性である。
彼女は前者二人と違って「創作」ジャンル一筋の同人漫画家である。ところが、彼女のテーマは一般受けしない。画力もあるし、展開もいいのに、他人の購買欲を煽るものがないのだ。そこで、同人活動初めて数ヶ月で売れっ子となった主人公は、彼女とユニットを組むことを呼びかける。
彼女は『To Heart』で定義するなら、来栖川芹香である。つまり、無口系である。しかし、彼女が芹香と違うのは『アルジャーノンに花束を』という本が好きであるということだ。これだけで、ぼくの評価はAである。
まあ「かわいい」系を逸脱していないとはいえ、同人活動をやり続けるひそかな情熱は評価に値する。
ただ、この人のシナリオはほとんど覚えていない。型にはまっている上に、あまりにも平凡すぎる。詠美シナリオの情熱を、もうちょっと与えてやりたかった感じである。
彼女に対しては一言で語ることができる。タラちゃん+マルチ+猫÷3。この公式が塚本千紗である。ちなみに「タラちゃん」とは「サザエさん」の「ハイです〜」のタラちゃん。マルチは「To Heart」に出てくるメイドロボのこと。猫というのは、彼女の決め言葉が「にゃ〜」だからである。ちなみに、詠美はへこんだときに「ふにゅ〜ん」という殺し言葉を発する。詠美の「ふにゅ〜ん」に比べたら、彼女の「にゃ〜」なんてビル一つも破壊できない。
彼女は倒産間近の「塚本印刷」の一人娘。会社を存続させるために、バイトをしている良い娘である。主人公のことを「お兄さん」といつも呼んで慕っている。まさに、ターゲットを狭めたキャラであるとしか言いようがない。
まあ、彼女のシナリオは面白くて、倒産間近の「塚本印刷」を持ち直すために、主人公は同人作家に呼びかける。そして、ついに「女帝」大庭詠美をも陥落させる。だいたい、主人公は月に一回48万2800円もの印刷費を「塚本印刷」に捧げているし、それに詠美が加われば怖いものはない。まさに、同人活動が一つの会社を救うのである。世の中は不景気であるが、同人活動があるかぎり、景気回復の可能性はあると、ぼくは感動すらした。しかし、彼女とセックスするのはどうだかなあ、というシナリオである。
この人も眼鏡っ子である。年上みたいだが、どうやら処女みたいである。この人の場合、主人公の要望によって眼鏡を外すか付けるか選択することができる。眼鏡っ子指数でいえばBにあたる。
この人も、わざわざ恋人にする必要はない。「こみパ」初心者の主人公を指南するお姉さんのままで良い。ただ水着姿の「オイル塗って」のグラフィックは、あまりにも無防備すぎて、年上の魅力満載である。あと、紙で指を切ったとき、指をなめてくれるのも、策略的すぎていけないのだが、こういうのにぼくはかなり弱い。「おしゃぶり南さん」というあだ名はちょっとやりすぎだ。
容姿で選ぶならば、この人が文句なくナンバー1である。しかし、彼女はコスプレイヤーである。コスプレイヤーとは、コスプレする女性のことである。
このシナリオをすれば、コスプレにも様々あることがわかる。どんな髭剃りにも哲学はあるし、どんなコスプレにも哲学はある。
ただ、これはぼくのプレイにも問題があるのだが、彼女のシナリオはいまいちである。というのは、彼女がハイレグの水着姿のコスプレをするときがある。そんな彼女に主人公は「今までの君のコスプレはそのキャラクターに対する愛情があった。でも、今の君は色気を使って、観客を喜ばせるだけで、愛情がない。そんなものはコスプレとは言えないのではないか」と説教する。ところが、その主人公はそれまで「創作」の「歴史」のジャンルでシブい漫画を描いていたのに、彼女に気に入られるためだけに「ゲーム」の「対戦格闘」のジャンルに方向転換したばかりなのである。つまり、自分の信念は女の子に気に入られるために変えたくせに、相手のコスプレを非難するのである。ご都合主義どころではない。
まあ、ぼくはこの人の名前を忘れていたがために、もう一度「こみパ」をプレイする状況に追い込まれた。ぼくの中の彼女はそのレベルである。
さて、最後の大関門。この人のシナリオは一度選択肢を間違ったら、もう終わりという非常に厳しいものである。しかも「三択なら俺に任せろ」と自称する「ときメモ」マスターTでも大苦戦しそうな難解さである。ちなみに、ぼくはこの人だけは解けずに、ついに他人に相談してしまった。
彼女は眼鏡っ子指数Cである。つまり、彼女は声優アイドルであるために、カモフラージュとして眼鏡をかけているだけなのである。
彼女の評価が高いという噂を風に聞いたが、ぼくからすれば「う〜ん」って感じである。彼女は声優としては一流だが、実は台本通りにしか喋れないという柔軟性のない性格で、プライベートのときは、いつもどもっている。「タクティクス・オウガ」というゲームで「吃音のプレッゼン」というボスキャラが現れるが、彼女は「吃音のあさひちゃん」となる。
さて、彼女のシナリオは、ぼくの好みにまったく合わなかった。まず、彼女は本当の自分は台本がなければ喋れない惨めな自分だと思っている。そんな自分を打破するために、彼女は声優をすることになった。そこまでは良い。非常に良い。ところが、主人公と親しくなるにつれて、声優の自分よりも、主人公が好きな自分を重視するようになる。最後の結末は本当に衝撃的だった。彼女は声優業をやめて、主人公と逃亡するのである。あげくのはてに、主人公と結婚して、子供まで産んでしまう。声優としてのプライドはいったい、どこに行ったのだろうか。しかも、そこに至るまでの主人公の手口はほとんど「結婚詐欺」に近いものがある。愛情があるにしては、あまりにも主人公は策略的である。それに、ぼくは主人公との愛に目覚めることにより、彼女が声優としての幅をもっと広げて売れっ子になるという方向性を期待していた。それが逃亡という結末である。これはひどい。詠美シナリオでは、結局詠美は「あたしには漫画しかないんだから」と立ち直ることを決意する。その精神に感動したぼくとしては、この桜井あさひの行動はいまいち納得できない。このシナリオの教訓は「下手に有名人を好きになるな。下手に純愛をしてしまうと、相手の未来はボロボロになるし、お前の自由は完全に束縛されるぞ」ということだろうか。
さて、ついにランキングを発表する。
さて、ついにぼくは18禁恋愛シュミレーションゲームを二つも完全クリアーしてしまった。そこで、くだらない質問。
(1)なぜ、アニメなのにモザイクがかかっているか。
これは、ただのイラストレイターの職務怠慢なのか、AVを参照にしているから描けないだけなのか、性器を露出しないのがウケがいいのか、それとも法律のせいなのか。
(2)セックスシーンのとき、声優はどのような状況で喘ぎ声を出すのか。
これはかなり難しい。ぼくが考えたのは、通信販売の傑作「スカイウォーカー」をしながら録音していること。もしくは10キロ走った後で録音するとか。声優も楽じゃないとぼくは強く思った。
ああ、疲れた、疲れた。なんで、こんなことを夜中の一時半に書かなくてはならないのか。とりあえず、これから創作活動に励むし、ためていた本を読むぞ。さらば、エロゲーよ。