倉島みかな

キャラ評価8/シナリオ評価8

一言総評:理想の恋愛?


 価値観が同じ異性との恋愛。こうとだけ言ってしまえば、理想の恋愛の一条件は満たすでしょう。しかしこの場合問題となることは、みかな嬢のようないわゆるオタクである人物は、自分の趣味に対してコンプレックスの感情を多かれ少なかれ持っているということです。主人公も、(もしそうであれば)プレイヤーも。まあ、そのことをここで掘り下げるのは止めましょう。

 ストーリーは、何ということはありません。誰かに告白しようとしている主人公(これは誤解なのだが)、それを偶然見てしまい、応援しているうちに次第に主人公へ惹かれていくみかな。「いけない、私は先輩のことを応援しているのに」などと思ってももう手遅れ……云々。

 このシナリオの欠点は、はっきりしています。小道具として使われる「交換日記」の扱いです。交換日記の内容が、一行たりとも書かれていないのです(似たような欠点は、葉月シナリオにも見られます)。ここでみかなが何を考えているのか、そしてどのような性格の子であるかを示せればよかったのですが。例えば日を追うに連れて、次第に主人公に関する記述が多くなったりすると面白いと思いませんか?

 とはいえこのシナリオ、言ってしまえばメインのストーリーなどどうでもいいのです。とらハ2やSPARK!のようにキャラだけを堪能するべきでしょう。このストーリーは、キャラに奉仕するために存在します。その観点に立つと、他のゲームで類を見ないキャラクターであるこの子は、可愛く見える人にはとんでもなく可愛く見えることとなります。

 夜中に先輩の声が聞きたくなって、思わず電話をかけてしまう。だけど何を話していいのか思いつかなくて、思わず口をついて出るのが「『にゅ』と『にょ』は、どちらが人気者なんですか?」(もちろん私は『にゅ』の方が人気者だと思いますが、この際それはどうでもいい)。朝起こしに来てくれるのはいいが、本棚を見て思わず漫画に読みふけってしまう。起きた時に部屋の中にみかながいるということに驚く主人公に向かい「ギュウ肉マン、面白いですよね!」などと熱く語る。

 この子をどう評価するかは、まずマイペース人間をどう評価するか、そしてそれ以上に、執拗に繰り返されるアニメなどの会話を面白く感じるか、でしょう。これに拒否反応を示す人は、残念ながら……このゲーム自体をやるべきではなかったと思います。このゲーム全体がONEのパロディなのですから。

 ところでこのシナリオ、あと一年も経った頃にはじめて読む人はどんな感想を持つんでしょうね。まあ、旬のものは旬のうちに味わっておけ、ということですね。


評論メニューに戻るアイコン
トップに戻るアイコン