いや、「無人」ってのは、単に「病弱」という言葉につく係り結びみたいなもんです。だから栞も加奈も桜子も、みんな俺のなかでは「病弱無人」と呼ばれています。分からない人は『神聖モテモテ王国』なる漫画を読みましょう(読んでも分からないと思うけど)。
このゲームのハッピーハッピーなところを一身に背負っている子。Kanonとの比較はいい加減鬱陶しいからしないけど、ともかく知佳は「能力」のことを苦に思わずに、努めて明るく過ごしている……というよりも、このあたりから受ける第一印象は「真雪さんが過敏」ですね。だって知佳のことを見て「気味悪い」「怖い」なんて思う人って実際には出てこないんだから。こういう人が実際に出てくるのは、リスティシナリオでリスティに対してそう思ってる人だけ。もちろん、これは言ってしまえば欠点かもしれない。真雪さんが一人で暗い方に考えて知佳を縛っている、とも言えるわけだから。だけど、最初に知佳が耕介に羽根を見せるシーンの心細そうな知佳の態度。ここから知佳の不安、そして今まで受けた仕打ちを推測するのは可能だと思う。このCGで知佳がまっすぐこっちを見ていないのは、多くの意味を含んでいる気がしませんか?
だけど、ゲーム中にはそういう人は実際には出てこない。少なくとも、打ち明けた人はみんな知佳を受け止めてくれている。「人は誰しも心の底では、良心的でありたいと思っている」とか「腹を割って話せば、みんないい人だ」というのはどうでしょう。……多分、このゲーム全体にテーマがあるのなら、それはこれだと思う。人は誰でも、心の中では良心的でいたがっている。性善説って奴ですね。
……だからね、はっきり言うと知佳を理解するには、知佳シナリオよりも真雪シナリオをやるべきなんだよな。知佳の過去と心の傷に触れてるのはどちらかというと真雪シナリオだもん。
さて、真面目な話の直後にこういうこと書くのはどうかと思うけど、知佳のベストショットってお風呂で背中流してくれてるシーンだと思う。だってあのほんとに嬉しそうな笑顔っていいよね。あとあのつるぺたぶりとか(……)。