とらいあんぐるハート2

総合評価10−

一言総評:肌ゲー最強のキャラもの・Kanonやった人向け。


 登場人物をそれぞれ一言でいうと、いとこさん・退魔師・けもの・病弱……ああ、激しくデジャヴ。しかも病弱なのは天使でもあるという二連鎖。いいのか。
 そして「主人公が、海外へ行った管理人の代わりに女子寮の管理人をする」という設定もどこかで見たことが。その場合キャラクターはそれぞれ、明るくてみんなの妹的存在・剣術道場の娘・走り回る猫・露出度が高く下着姿で歩き回る年上、と読み替えましょう。鉄拳暴力娘がいないのが残念です。……まあラブひなはともかく、Kanonを見てからこのゲームを作るのが間に合うとは思えないので、偶然と考えるべきでしょうが。

 ともあれこのゲームの基本的コンセプトとしては「明るく楽しい、何となく幸せな日常生活を満喫」といったところでしょうか。
 もちろんそれぞれのキャラのストーリー、ラスト付近はそれなりに盛り上がってそれなりに感動的でもあるのですが、正直なところそこのストーリーは大したことありません。それどころか台詞に頼りすぎでクサい印象も受ける始末。

 しかしこのゲームのいいところは、キャラクターがしっかりと立っていること。分かりやすい例としては、仁科知佳がそうでしょうか。この子はパソコン通信が趣味のハイテク娘ですが、つまり明らかに「プレイヤーと同じ趣味を持たせることによって、親近感を持たせる」ことを狙っています。このようなやり口は「狙っている」とプレイヤーに感じられると一気に白けてしまうものですが、このゲームに関してはそのような感じは受けません。これが、キャラクターが立っているということです。つまり作者がでっち上げた設定の集合体に名前をつけたのではなく、一人の仁科知佳という人物を設定して、そのような人物ならこのような趣味を持っているだろう、このようなことは苦手だろう。そんな類推を繰り返して仁科知佳像を作り上げているのです。だからどんな設定もそのキャラクターに似合わないということがないし、どんな台詞も違和感なく受け取れるのです。また、他のゲームにありがちな「同じ子なのに、シナリオ違うと別人みたい」ということもありません(例外はありますが、あれは事実上別人と言っていいでしょう)。

 そしてこのゲームが他のギャルゲーと一線を画していることは、女の子どうしの人間関係がしっかりしていることです。この子達はひとつ屋根の下に住んでいるのだから、仲のいい相手もいれば、喧嘩になりやすい相手もいる。そこをきっちりと設定しています。最近はここに気を使っているゲームも多いのですが、せいぜいがところ「仲のいい2人」と「会えば喧嘩ばっかりの仲」が設定されてるだけで、このゲームのように……住人8人から任意の2人を取るとして、8×7÷2=28パターン。ほとんどの組み合わせについて考えられているゲームなど……コンシューマーの『悠久幻想曲』ぐらいしかありません(ゆうひ・みなみとか、真雪・みなみのような例外もありますが、例外としてくくれる程度)。変に主人公とのデートっぽいイベントがあるよりも、住人同士の喧嘩を見た方が「その子がどんな子なのか」を理解出来るというものです。それにその方が面白い。薫と真雪さんが一緒にいると、ついつい見に行っちゃうでしょう?

 さて、かようにほとんどべた褒めのゲームなのですが、10−のマイナスはどこから来ているのでしょうか。……はい、ゲームとしての作りがあまりにも雑なんです。
 差分が何度も出ている大量のバグ、何のためにあるのか分からない主人公育成、後半になると加速的に増える誤字。育成はそれでもアクセントと言えないことはないからいいとして、誤字とバグだけはどうしようもありません。もう少し気分良くプレイできるようにして欲しいものです。
 ……あと、正直なところストーリーがクサすぎ。何でもかんでも台詞で言わせているから、聴いてて恥ずかしくなった、それが本音です。

 そうそう、総評に書いた「Kanonやった人向け」とは、Kanon評論・川澄舞を見てください。要するにあの逆、人が幸せになる方法はいくらでもある。一人に見放された程度で生涯不幸になるほど、人間はやわじゃない。まあ簡単に言ってしまえば、たとえば美緒エンドでは10年後のみんなの幸せな姿が見れるってことです。Kanonのように、攻略対象にしなかった子の未来は想像したくないようなゲームじゃないってことです。

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 さてキャラ別評価なのですが……下を見てください。平均点がおよそ9です。このゲームを最初にやったとき、最後まで誰を狙うか決められなかったほど(つまりリスティシナリオに行ったってことだな)みんな魅力的です。ついつい「ああ、このゲームが『センチメンタルグラ○ティ』だったら」などと思ってしまいました(笑)

キャラ別評価(工事中・お気楽なことを書きます)


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