倉田佐祐理

シナリオ評価5 / キャラ評価7

一言総評:で、舞は救われるんですか?


 ……ていうかさ、ダメでしょ、この話。

 まあそれなりにいい話なんですが、舞の話が完全に投げ出されてしまうのは大問題じゃないでしょうか。
 そして舞シナリオにおける佐祐理の態度。……ねえ、あれって何なの? 舞が夜中に学校に一人でいることは知っている、でも戦っていることを知っているわけじゃない。だから割と気軽にくちばしを突っ込もうとするけど、拒絶されるとすぐ引く。舞が何をしているのか、知ろうとすらしないでのんきにぬいぐるみを持って夜の学校へ出向く。
 そう、「知ろうとすらしない」。ここが佐祐理の舞への態度における問題点です。拒絶されると嫌だから、ちょっとでも拒絶されるとすぐ引いてそれをなかったことにする。舞は舞でいろいろと人に言えないようなことをしているんだ、佐祐理が下手にくちばしを突っ込んでは迷惑だ。……でも、その実舞が何をしているのか、本気で深刻なことをしているとは考えない。これで生涯の親友を名乗っているのだから、ほころびが出て当然です。

 で、そんなアマアマな佐祐理の態度がどこから出るのか、ということを解明したのがこのシナリオ、といえるわけですが……辻褄が合っているだけに、これって嫌じゃないですか?
 弟の死の原因の一端は自分にあると考えている。もうあんな風に誰かを失うのは嫌だ。
 ……ここまではいい。ですが、この後に佐祐理が選んだ道は「誰に対しても深入りせずに、自分のせいで誰かを傷つけることを避けて人に接する」こと。そんな態度で、舞のような、心の深いところに何かを背負っている人を救うことが出来るのでしょうか。そして結果から見るに、全く救えていません。

 結局のところ佐祐理と舞の関係は、悪く言ってしまえば偽善的な友情ごっこでしかないのではないでしょうか。


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