この作者達が作ったにしては珍しい、360度どこからどう見ても普通の人。たしかにどこか変だけど、それ含めて“普通”の範疇に入る人。これで「この制作者達って、何かしら障害持った人を使わないと物語作れないの?」なんて陰口叩かれないで済む……と思いきや。
はっきりきっぱりつまらない、このシナリオ。どうしてこんなにおいしい設定作っておいて、いいシナリオが作れなかったんでしょう。
「つまらない」の一言で完結しちゃってもいいんですが、このシナリオ、何がいけないのかというと……
(1)シナリオのキーである“事故”が、あまりに唐突。もちろん交通事故に伏線など張りようがないんですが、だからこそまともな神経を持った物書きならそれそのものをメインに持ってきたりはしません。
(2)じゃあ、事故そのものじゃなくて事故の後こそがメインだ、とするならば、主人公があゆのことを思い出さないから全体的に白々しい。話に説得力を持たせようと思うなら、例えば主人公が名雪を見て「ああ、名雪はあの時こんな気持ちだったんだ」とかその逆の方に話を持っていく。あるいは名雪も泣くだけじゃなくて明らかに現実逃避な言動を繰り返すとか……そう、事故以降の話をもうちょっと多く描かなきゃ分からないです。
(3)この話のラストに当たる、主人公が目覚まし時計に名雪への言葉を吹き込むってギミック。……これ、見た瞬間にピンときました? あたしゃ、結構後にならなきゃ分からなかったです。
名雪というキャラクター自体は文句なくかわいくていい味だしてるだけに、もうちょっとまともなシナリオを用意してあげて欲しかったものです。