この話の主役は、美緒でした。愛さんじゃありません。……いや、これは贔屓目じゃなくてもそうだと思いますよ。

 ともあれ、美緒がまだ耕介に意地を張ってる頃の話で、そんな美緒の心を解かすための小道具が「啓吾さんの作ってた、美緒の好きな料理」なんですよね。でまあ、それを出されて美緒はそこから去ろうとするわけですが、知佳の超能力で引き留められて(知佳の超能力については、一言も説明なし。ゲームやらない人が見ることを全く想定してないのはむしろ潔くて好き)、愛さんからも説得されて食べるわけですよ。で、一口食べた美緒はそれでお父さんを思いだしたのか大きく泣き出して勢いよく食べるわけですが、この食べ方が猫食い(そんな言葉はないか。犬食いです)。箸やフォークを使わず置かれた皿に顔を近づけて食べる、行儀もへったくれもない食べ方。

 ……あのね、美緒はなんだかんだ言っても厳しい躾をされてきた子なんですよ? たとえばゲームの序盤で愛さんに部屋の片づけをしなさいと怒られるシーンとか……夏休み中に、遊びに連れてってと耕介にせがむシーンがありまして、そこで耕介が「管理人様は忙しいのだ」と答えたところ、当然美緒はぶーたれる。で、耕介の台詞「ほら、おこづかい50円やるから」に対して「きょーび、50円じゃガチャガチャもできないのだー」しかしその後に続く台詞が「…でも、ありがと」。これはなかなか言える台詞じゃないですよ? なんだかんだ言って、美緒は悪い子だけど根本は素直ないい子ですけどねぇ。


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