栞編でして、今号のラストシーンは主人公君を香里が呼び出すところで終わっています。ところが本編と全く違ってまして、香里は名雪に電話をかけて「相沢君と一緒に来れる?」と聞いています。つまり、あくまで相談相手は名雪であって裕一君(だと思ったが……主人公の名前……後日談・案の定間違ってました。祐一君ですね。音だけは覚えていたわけだ)はおまけなわけですね。
このアレンジ、難しいとこですね。もちろん普通に考えれば香里が名雪に相談しない方がおかしいのですが、でも香里としては何よりも自分を騙したい、可能な限り素直になりたくないわけで……名雪に対して嘘はつきたくない、だから名雪に対して栞のことを話すのは、何を話すのか整理し切れてからと考えていたのでしょう。つまり、名雪に話すのを保留していた結果、全く疎外したまま話が終わってしまった、ゲームでの香里と名雪の関係はそう理解していました。
私はゲームでのこのシーン、香里は裕一を呼びだして何を話すのか、全く整理しきれないうちに裕一が来てしまったと考えています。もしかしたら香里は「あの子は私の妹なんかじゃない」と釘を差すために裕一を呼びだした、そう自分では思っていたのかもしれません。だけど混乱しているうちに気がついたら素直に色々と本音を話していた、そんなところではないでしょうか。
これが正解であるとするなら、漫画のアレンジはだいぶ変なアレンジを施してしまった、ということになります。
とはいえ、漫画とゲームでは置かれた状況が全く違うのでこのアレンジはいいアレンジである、と思いますね。そもそも漫画の世界ではゲーム本編のように延々と会話ばっかりしているわけにはいかないので、栞と名雪をあんなに早く知り合わせたのは必然というものです。登場人物が増えれば動きも増える。