ひがわり娘

2002年1月1日〜31日


そうか、同人界に足を踏み入れて10年経つんだ……(1月3日)

 はい、新年であります。

 まあそれはそれでいいとして、年末にコミケ行ってきました。そして痛感したのは、こんな言葉。
「俺は10年間同人界にいるわけだが、その間なにを見てきたんだろう」

 まずは先月言ったことをちょいと思い出してください。「古我望さんのとこ行くためだけにコミケ行く予定」。まあ実際にはついでだからとあちこち回るんですが、ともかく主たる目的は一ヶ所だけ。
 さらに古我望さんの本というのは『BITTERSWEET FOOLS』の本。『Wind』ならいざ知らず、さほど大人気というわけでもないゲームの設定本。原画の相田裕さんが『GUNSLINGER GIRL』を始めたのがちょっと気がかりですが、それでも古我さんのスペースの方へ行けばいいだろう。

 以上二つのファクターより、私はこう判断しました。
「朝に長野を出るバスに乗り、昼から行けば充分だろ」

 ……ええ、もちろん同人のエキスパートな友人に怒られましたともさ。「壁サークルに昼から行って買えると思ったか」
 そ、そうかな。だって壁サークルっていったってピンきり、並ぶとこは開場と同時に並んでも買えないけど、並ばないとこはスペース前に2・3人しかいないんだし……
 そんなわけで帰りにちょっと寄ってみたところ、相田さんのスペースにはまだ列がありました。ぬう。いや、その友人に買っておいてもらったから、事なきは得てるんですが。
 目が曇ったなぁ。

 そしてもうひとつ。同人界には、もちろん創作系というジャンルがあります。ていうかそれが本来なんですが、ともあれ創作系、すなわちオリジナルの漫画を創ってる人たちがいるんですわ。
 そしてその中でもジャンルの細分化がなされてるわけで。たとえば一番大きいのはJUNE系だったり、少年漫画をやってる人がいれば少女漫画をやってる人もいて。そして成年向けすなわちエロマンガだって、その中では細分化されています。ラブラブほのぼのがあったり、監禁陵辱があったり、いやいやいや近親相姦こそが俺の描きたいものだ、という人もいます。
 そんなさまざまなジャンル。それは書き手・読者双方の利益のため、その細分化されたジャンルごとに固めて配置されます。たしかに書き手だって同じ趣味の人と話してみたいだろうし、読者にだってその周辺を回れば好きなジャンルの本をまとめて見れるということであれば、利益となるでしょう。それにネガティブな言い方をすれば、嫌いなジャンルのとこには近づかなくて済むわけでして。これだって利益でしょう。

 ともあれ、時間が余ったんでカタログ買わずに創作系を巡回してみました。本を手に取り、中身をパラパラと見ながらこれはアリかな、いやいやダメかな、などと考えてウロウロと歩き回り、本をざくざくと買っていきました。だって面白そうな、絵が好きな本が多いんだもん。
 いや、ちょっと待て。この周辺って、なんでこんなに目を引かれる本が多いんだ? ほぼすべてのサークルの前で足を止め、そして半分以上のサークルで本を買う。おいおいおい、創作系って俺好みの本、具体的にいうとネコミミ本だらけのジャンルなのか……?
「あ!」
 思わず小さく声が出てしまいました。

 創作系には「猫耳ブロック」が存在する。

 ええ、目から鱗が落ちましたともさ。そして驚いたという事実に対してもう一度驚きました。なんで今まで気づかなかったんだろう、考えてみれば当たり前の話じゃないか。猫耳少女がひとつのジャンルだなんて、今に始まったことじゃないだろう? ラグナロクオンラインに猫耳がいるからちょいと再燃して注目されてるらしいけど、それ以前にいくらでもあったジャンルじゃないか。どうして猫耳本が珍しいだなんて思ったんだ俺は。そうすると俺は、10年間パラダイスに気づかないままコミケにいたのか。

 とまあ以上ふたつの出来事から無理やり教訓を引き出してみるならば、こういうことでしょうか。
「自分の趣味をマイナーだとみなすのは、少なくともコミケでは有害な思想である」
 コミケに限らない言い方をするとこうか。
「俺って、ちょっと変わってるってみんなから言われるんだよなぁ」と誇らしげに言う人は、珍しくもなんともないというパラドックス。


いや「やられたっ…! 奴の仕業だな…!」じゃなくて。(1月4日)

 黒沢。『最強伝説黒沢』。
 いやなるほどそう来るか、まさかこんな笑える話になるとは。『カイジ・マカオ編』みたいなもので、普段ほかの漫画で深刻なことを言ってるのと同じ表情と文字でヘッポコなことを言わせることによって、その落差の笑いとでも言いましょうか。
 まあ今回のような話でも変に共感して「俺たちの本心を言ってくれた! そう、ぶっちゃけ人望って欲しいよね」と絶賛のバンザイをしちゃう人もいるでしょうが、いくらなんでも今回の話は笑わなきゃウソでしょう。なぜならこの話における黒沢は、その本心とやらを極端にした存在で、本質的にみっともなさを描いたキャラクターだからです。

 たいていの人の中にはいくらか存在する虚栄心を描き、それをみっともないと読者に告げているわけで、だからこれを笑うのはいくらかの痛みを伴う行為でしょう。だけどそういう自分を見つめた上で自己を笑う懐の深さがあってもいいんじゃないかと。笑えないほど余裕ないのはどーかと思うよ。

 ていうかそんな屁理屈云々は脇に置いて普通に笑えるけどね、これは。どう見たって惨敗してるし勝ち目ないよ黒沢さん……


和田アキ子と小林幸子は和解したのだろうか。(1月5日)

 年末恒例の行事といえば、紅白歌合戦。まあ2002年は歴代ワースト2位の視聴率だとかいわれてますが、それでも視聴率50パーセント近く。すべてのテレビが稼動してるわけじゃないということを考えると、日本人の半分は見てると考えていいわけですよ。2位の猪木がいくら健闘したといっても、その半分の数字すら取れてない。その程度なのに「紅白の終焉も近いな」なんてしたり顔で言うのはどーかと思うのですが。

 ともあれ今頃になって紅白のネタをしようとする葩稍さんでありまして。紅白出場歌手のリストを見る……だめだ、どこでもやりそうな「へー、中島みゆきが出るんだ」「その名前は文字化けしてるんじゃないのか“ジョン健ヌッツォ”」、あと軽いジャブとして「Gacktって歌手だったんだ」ぐらいしか思いつかない。あ、あとBEGINが初登場なんだ。確かにイカ天バンドが流行ってた頃はたまの独壇場だったしな。

 ま、ともかく中島みゆきの話題でいきましょう。
 そもそも今まで出てなかったって事実に驚きだって人も多いんじゃないでしょか。こんなメジャーな歌手なのに。オールナイトニッポンをやってたぐらいだからメディア嫌いってこともないだろうに。NHKに嫌われる反社会ソングでもないよね? そんな歌手ならそもそもプロジェクトXのテーマなんか歌わないわな。
 やっぱりなんだかんだ言ってもニューミュージック界と紅白って相性悪いのかな。言われてみると、その辺りの世代の大御所って紅白に出てる人の方が少ない気がする。出てない有名どころで井上陽水、松山千春、松任谷由実etc.あと最近になってやっと初出場の吉田拓郎、イルカ、アリスetcetc.でも南こうせつは何度かでてるんだよね。謎。

 ところで、紅白歌合戦の瞬間最低視聴率は、長渕剛が17分30秒もひとりで歌ったとき。ていうかそんな企画をやったことに驚きなんですが。そんな譲歩してでも長渕に出て欲しかったのかなぁ。
 ……なんて思ってたら、案の定。この長渕が延々と歌ったのはハプニング……というか長渕が生放送中に暴れた、という感じだったらしくて。おかげでこれ以来よそからの中継はなくなるし、出場歌手からも不満続出。でもなぁ、そもそも権威嫌いの長渕を制御できると思ってた製作者側の読みも甘すぎるわ。つまり視聴率に目がくらんで失敗したわけですか。

「名だたるものを追って、輝くものを追って、人は氷ばかり掴む」
 とは『地上の星』の一節。実にうまいことをいったものです。


うちの会社は捜索しないでいいや。されるとたぶん潰れるし。(1月10日)

武富士をサービス残業の疑いで家宅捜索

98年10月から2年間にわたり、月平均100時間余りの残業をしたが、最高で月25時間分の残業代しか支払われず、約420万円が未払いになっている
 これに対する返答が
規定では男性の時間外労働は月25時間、女性は月6時間としており、それを超える場合は振り替え休日や特別手当を支給している。規定を守るよう社員に指導しており、順守されていると認識している
 ふむ、75時間の振り替え休日か。なんか月の半分ぐらい休日になりそうだな。

 あー、たしかにサラ金の男性社員って残業多いよね。朝、人より早く出勤して駅前でティッシュ配る(女性社員だけじゃないよ)でしょ、夜は夜で「サラ金の督促電話および訪問は夜8時以降行ってはならない」って規定があるから、まあ8時までそれやって、適当に帰り支度。9時には終わるわけだ。で、基本的に完全週休二日。
 ……こう書いてみると恵まれた職場に見えてしまうのは気のせいだろうか。


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